画家の小木曽誠さんという人のYouTube動画を観ました。
彼の神技ともいえる絵画技術はそれだけでも観る価値があるんですが、ほとんどの動画で彼は、絵画プロセスのついでに、気ままなor真面目な雑談をしています。
雑談とは言っても当然絵画や創作の話が多く、いずれにしても、創造に熟達したプロのアーティストから学べることは多いです。
今回の投稿は、その動画を観た感想のアウトプットです。
教室が狭くて
この動画(右)ではいくつかの話をしていたんですが、一つ目に印象的だったのは、
「とある美術科の高校を訪れた時、そこの生徒が、廊下で大きな作品を描いていた」
という短いエピソード。
おそらく教室には十分なスペースがないなどの理由で、創作に使えない場合、教室にこだわらず、廊下スペースを利用して描いている。
ということでした。
小木曽さんは、「その高校の美術科学生は県内でも特に優秀だと思う」と評価します。
このエピソードは当然、「教室で描けないからたまたま廊下で描いた」というだけの話ではなく、ここには絵画に限らず、創造と人生の重要な教訓があると思いました。
創造する姿勢。平たく言うと、目的意識。望む成果へのフォーカスです。
外的状況にフォーカスする
ゴール/目標があっても、有利な条件や十分な環境に恵まれているとは限りません。
むしろどこかの段階で、何かしら好ましくない不利な状況を経験することの方が多い。
そんな時、人はついついその不利な状況にフォーカスしてしまいがちです。
仮定として先の美術学生の話に当てはめると、「教室が使えるようになってから絵を描こう」とか「教室でこの作品は描けないから目標を変更しよう」といった理屈を思いつく人もいるかも知れません。
そういう風に考えていると、本来自分の内的動機が握っていたはずの目標達成の主導権を、外的条件に明け渡すことになってしまいます。
そうすると、創造性は発揮できないどころか、先延ばしなどして、かえって創造において不利な状況に追い込まれていくわけです。
一般的にも、何か目標を立てみたものの、または目標を立てる段階ですでに、環境や状況が困難を感じて、先延ばしにする。
先延ばししていることに葛藤を感じ、しまいには嫌気がさして、「”なかったこと”にする」。
こういったことは多くの人がよく経験することです。
主導権を握る
創造においてフォーカスすべきなのは、条件や環境ではなく、何をおいても”望む成果”です。
その目的のために、条件や環境がどうなっているかを見る。そして何ができるかを考える。
その間もフォーカスは変わらず”望む成果”にあり続け、不利な状況においては工夫し、または機会を伺い、行動する。行動は学習にもつながります。
先のとある美術高校の学生が小木曽先生の評価通り”優秀”だとすれば、それは才能や結果論によるものでなく、そこに先立つ”姿勢”にある。
彼らが外的条件に主導権を明け渡すことなく、望む成果にフォーカスして実践し続けている姿勢に現れているのだろう。
そんなことを思いました。